東野圭吾「卒業 雪月花殺人ゲーム」

4月 29, 2006

本日ご紹介するミステリーは、東野圭吾さんの「卒業 雪月花殺人ゲーム」です。
東野さんの2作目の作品になります。
1作目の「放課後」はだいぶ前に読んだのですが、途中はともかく、真相とか最後とかがものすごく合わなかったので、しばらく読んでいなかったのですが、読む作家さんが減ってきたので手に取りました。

●あらすじ
高校時代からの仲間たちとは同じ大学に入り、付き合いを続けていた。男性3人、女性4人のそのグループの、一人の女性の死体が発見される。
密室になっている建物の中で、一体何が起こったのか。自殺なのか他殺なのか。真相を探る中で、また一人、仲間が死んでいった。

●簡単な感想
ハードカバーの本を読んだのですが、表紙の絵=赤川さんのイメージが強いので、表紙を見るたびに赤川さんを思い出しました。
ミステリーとしては「放課後」の方が上かな、と思いましたが、複雑に絡む真相は読み応えがありました。
加賀さんは良いキャラだと思います。こういうストレートな人は好きです。有栖川さんのキャラクターである火村助教授に似てる印象を持ちました。陰のない火村さんというか。
ヒロインの沙都子も気が強くて冷静なタイプで好感がもてました。
仲間である7人が疑い合うというと少し違う気もしますが、そんな感じの話です。
「卒業」までに彼らの関係がどう変わるのかも見所だと思います。

以下はネタバレ感想です。
読まれた方のみ反転してご覧下さい。

密室のトリックは「へぇ」とか「ふーん」くらいに思うことが多いのですが、今回もそんな感じでした。比較的斬新であるとは思いますが。あんなに簡単になるものなのでしょうか。
祥子についてはあまり同情できないというか、結局自殺だったわけですし、それもただの早とちりだったわけですし、そもそも自分の責任ですし、微妙です。藤堂さんが悪いとも特に思わなかったです。彼女に関しては、ですが。
剣道の話と殺人とが絡んでいくのは面白かったです。波香の計画はあまり彼女らしくない気がしました。性格からすると、直接問い詰める方が合っているような。
華江は苦手なタイプです。恋に盲目になる人は好きではないので。友人を裏切るくらいなら駆け落ちすれば良かったのでは、と思います。そんなことを言っていたら話にならないのですが。
最後は全員がばらばらで終わったのは後味はあまり良くないですが、悪くないと思います。

以上です。